ポリカーボネート製品について
ポリカーボネート製品は、丈夫さ、取り扱いやすさ、安全性など、優れた特長を持つプラスチック商品として、学校給食用食器をはじめ、さまざまな市場で活躍しております。
その安全性、衛生性については、業界は確信いたしております。事実、ポリカーボネート製品から溶出するビスフェノールA について、このような騒ぎになっている国は、世界でただ一つ日本だけであることをぜひご認識いただきたいと思っています。
日本の一部のマスコミが報道しているような環境ホルモンとしての危険性は、世界共通の認識ではないことをご理解いただきたいと存じます。食品衛生法に適合しているかぎり、ポリカーボネート製品の安全性は確保されていることを正しくご理解の上、安心してポリカーボネート製品をご使用いただきたく存じます。
ポリカーボネート製品の環境ホルモンにかかわる問題には、センセーショナルな言葉でのマスコミ報道や、誤解を招くような記述があり、消費者の方々は不安の渦中に巻き込まれることになりました。そのため、一部の自治体でポリカーボネート食器の使用中止といった不測の事態も生んでしまったことを遺憾に存じます。
私たちポリカーボネートの樹脂メーカー、加工メーカーは、消費者の皆様に正しい情報を提供し、冷静な判断を頂けるよう、今後も安全性の啓蒙活動と共に、正しい商品知識の普及にさらに努力を重ねてまいりたいと存じます。ポリカーボネート加工メーカーは樹脂メーカーの協力を得て、品質や工程管理に関する自主的なガイドラインも設けます。
これらの取り組みにより、消費者の皆様の一層の信頼を得てまいりたいと存じます。
現在、環境ホルモン問題の調査研究は進行中であり、今後しばらくは継続される見込みです。私たちもこれからの研究や世界各国の動向等に細心の注意をもって情報収集に努め、適時的確にその成果を皆様方に公開すると共に、業界としての対応に反映させてまいります。そしてより良い、安心してご使用いただける製品の提供に努力してまいります。
日本プラスチック日用品工業組合
プラスチック製食器協議会
ポリカーボネート樹脂技術研究会
1999.8.10 更新
ポリカーボネート樹脂技術研究会事務局
〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-5-2 アロマビル8F
TEL:03-5652-4607/FAX:03-5652-4608
http://www.polycarbo.gr.jp/
ポリカーボネート製食品容器の形成加工ガイドライン
ビスフェノールAの溶出がより少ない食器容器をつくるために
- 原料納入者との間で規定した納入仕様書に基づいて原料樹脂を受け入れる
- 食品用途向けのグレートであることを確認して使用すること。食品用途向けペレットには食品用途向けのグレート名称やカラーナンバーで識別されています。
- 使用PC原料は納入仕様書に規定されているビスフェノールAの含有量が食品衛生法で定める材質試験基準値の1/2すなわち250μg/g以下であること。
(※レンジメーカーの自主管理による) - PCの着色加工、強化ポリカーボネートなどの複合素材については着色メーカーではなく必ず原料メーカーに委託する。成形メーカーでの着色加工等はビスフェノールAの含有量が増える可能性がある。
※食器用途の抗菌剤の使用については樹脂メーカーと御相談下さい。
注) 上記1~4は、PC樹脂メーカーからの注意事項に基づくものです。 - 予備乾燥(乾燥温度は120℃~125℃)を十分に行うこと。
ペレット化されてからの期間が短くて保存状況の良いものについては、3~4時間乾燥を行う。保存期間が長く、保存状況の悪いものについては5時間以上の乾燥が必要である。
※レンジメーカーの技術資料参照の事 - 吸湿しやすいので、乾燥機の電源を切った状態で長時間ホッパ-の中に原料を入れたままにしないこと。また、長期間入れたままになっている原料を再乾燥してから使用すること。
- 乾燥器は原則として、箱型乾燥機とホッパードライヤーを併用するか、除湿乾燥機を使用するのが望ましい。
また、ベント式射出成形機で除湿する方法もある。
(※レンジメーカー技術資料参照の事) - 成形温度はPCメ-カ-推奨温度(上限温度300℃)に設定すること。
(※レンジメーカー技術資料参照の事) - 成形時の滞留時間が長くなって再び成形する場合は、銀条、黄変がなくなるまで不良品とすること。また、射出容量の70%前後の標準的な製品で300℃で15分停止し、再び成形した場合は2ショット、30分停止後では5ショット、さらに60分停止後では10ショットまで不良品とすることを標準とする。
- スプル、ランナーはなるべく再利用しない。スクラップ、端材等は使用しないこと。
- PCを滞留させないためにシリンダー内の原料をできるだけ少なくすること。成形終了前に、ポッパー下側のシャッターを閉じて、原料が落下しないようにした後、スクリューの中の成形材料で成形し、ショートショットになれば空打ちを行い材料を吐き出す。
なお、スクリューは、前進のままで終了する。 - 絵付け等二次加工時にアルカリ性液体、有機溶剤、塩ビ可塑剤と接触しないように注意すること。
- PCアロイを使用する場合、耐薬品性の向上、成形ひずみ防止するのに役立つが、ポリカーボネート単位に較べて熱安定性が劣る場合があるので、原料メーカーに確認の上使用してください。
以上の項目を各企業の製造作業標準に取り入れてください。
ユーザーに対する給食用ポリカーボネート食器の取り扱い上の留意事項
- 食器を洗う時は、柔らかいスポンジを使用してください。
- 洗剤の使用に際しては、取扱い説明事項を確認し、適量使用してください。
- 洗浄機の定期的チェックを実施してください。
- 食器の漂白に際し漂白剤の説明書をよく読み、濃度や時間に注意して使用してください。
また、後のすすぎを十分に行ってください。